著者:亀山 郁夫 出版社:講談社(電子版)
メモ:
p54(kindle位置№703) “十九世紀に生きたドストエフスキーは、農奴解放後のロシア社会に生じた瓦解と分断を回避し、人々を和解に導く手段として、「プロスヴェシェーニエ」の大切さを訴えました。「プロスヴェシェーニエ」とは、英語の「enlightenment」に該当するロシア語で、「開明」「啓発」「教育」などの意味がありますが、ドストエフスキーはこれを広く「文化」の意味で用いていました。
「わが国に、真の、ほんものの文化があったなら、わが国にはいかなる分断もけっして生じなかったのではないか」
そしてこの言葉を、人々の魂と心を照らし、生きる道を示す「精神の光」と呼ぶことになります。私は今、この「プロスヴェシェーニエ」こそが「教養」と呼びたいのです。”